カラフルなイメージがあるルドンですが、長い間モノクロの世界にいたとは驚きでした。展覧会の題名も『ルドンの黒』ですから、どんな作品に会えるかのと期待をして渋谷に向かいました。
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もともと、Bunkamuraミュージアムは地下にあって暗く壁も黒なのですが、看板からポスターまですべて黒で統一されていました。最近この美術館は、ちょっとした遊び心持たせるようになっていい感じになって来ました。
さて、ルドンの作品ですがリトグラフが中心です。描かれる世界には、怖いと言うよりもユーモラスな怪物たちがあちらこちらに登場します。彼自身は、オカルト的なものに興味があったようです。
たしかに妖しい世界を描いているのですが、見る人を怖がらせるような感じはしませんでした。日本だと妖怪絵巻と言ったところでしょうか・・怪物を描くことで「もっと世界を見てほしい」、「別の世界が見えるでしょう」と言っているようにも思えます。
作品の題材には、神話や昔話を参考にしているようなのですが、特におもしろかったのは目玉です。一つ目の怪物に目玉の気球とバリエーションは豊富です。そして、その視線は常に上を向いています・・・何を見ているのか気になります。
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オディロン・ルドン「『エドガー・ポーに』T眼は奇妙な気球のように無限に向かう、1882」
今回の展覧会にも美術館が独自に用意したCG映像がありました。ルドンの世界を映像で表現するための試みのようです。エッシャー展のときもそうでしたが、良くできています。たしかにルドンの世界が動き出したら楽しいと思います。このような企画は、これからも頑張って続けてほしいものです。
※Bunkmura