押井守(1951〜)は、「こんな展覧会2度とやらない」と冒頭で宣言していましたが、アニメーション資料をはじめ、フィギア、撮影衣装、小道具など彼の想い入れがあるものが所狭しと展示されています。それは、彼のおもちゃ箱を見ているように思います。
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彼の代表作は、1995年に監督したアニメーション「攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL」です。士郎正宗の原作をベースに、インターネット黎明期にあった当時において、ネット世界の到来を予言させる注目作でした。この作品は、ハリウッドで活躍するクリエーター達にも刺激を与えています。
撮影されない細部にまでこだわることが、押井流のもの作りのようです。例えば、設定用のフィギヤに精密な作りを要求するのは、ある意味において現実世界以上のリアリティをを共有させるためなのかもしれません。すべてを作り込まなければいけないアニメーションであるがゆえのこだわりであると思います。
商業ベースで作成されるアニメーションの中で作品を残していくことは大変なことだと思います。しかも、そこにもの作りのこだわりを求めることは、さらに困難なのかもしれません。芸術系の大学や専門学校でもアニメーションを学ぶところが当たり前になってきましたが、そうした若い人たちには彼の姿勢は参考になるのでないでしょうか。
※八王子夢美術館(2010年7月16日〜2010年9月5日)