シスレーの光 〜 ザ・コレクション・ヴィンタートゥール
2010-08-11


ヴィンタートゥールは、スイス・チューリッヒの北東にある人口10万程度の都市であり、古くから経済的にも豊かだったようです。このため、資産家たちの多くは優れた美術品を収集しているそうです。それで、今回の展覧会では、まだ紹介されたことのない90点の作品が見られるとのことでした。

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展示内容は、19世紀から20世紀にかけての作品を網羅する形になります。ドラクロワからはじまり印象派、ポスト印象派に展開して、中盤からはスイス、ドイツ出身の作家に焦点をあて、ナビ派、フォーヴィスム、キュビスム、表現主義、シュルレアリスム至るまでの変化を楽しむことができるようになっています。

無難なところを選んでいるため、展示の感想はややコンパクトであると思いました。ただ、前半に印象派とポスト印象派を持ってきているためか、はじめにインパクトを感じてしまうようにも思います。後半にはルソーやピカソもあるので、けして印象が薄くなることはないのですが…

ところで、このところ印象派の作品を多く見かけていますが、今回のシスレー(1839-1899)の作品はいままでになくさわやかさを感じる一枚だったと思います。『朝日を浴びるモレ教会』と言って、シスレーにしては珍しく水を描いていない作品です。

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アルフレッド・シスレー「朝日を浴びるモレ教会、1893」

大きな画面には、モレ教会が堂々とそびえ立っています。その周りにわずかな空と通り道が描かれています。しかし、わずかにみえる青空がシスレーの光を主張して、画面全体を引き締めています。例え、水を描かなくてもみずみずしい、まさに印象派らしい作品だと思います。

※世田谷美術館(2010年8月7日〜2010年10月11日)
[展覧会]
[*近代]

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