パリに魅せられた人生 〜 佐伯祐三展
2005-09-23


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佐伯祐三は、ヴラマンクに自ら描いた裸婦を見せたさいアカデミックと批評をされたことに刺激され、その画風をフォービズム的に変化させたといいます。パリをこよなく愛して多くの作品を残していますが、彼の画家人生は、30才という若さで終わってしまします。彼の作品をまとまって見るのは、今回が初めてなので、どのような人生だったのかと興味津々で練馬まで足を延ばしました。

この展示会では、佐伯が東京美術学校を出た直後、最初のパリ渡航期、一時帰国時、さらに2度目のパリ渡航期の作品を4つパートに区切り展示が行われています。面白いことに彼は、その環境の変化や心の移り変わりが作品に出やすいようで、時代順に展示すると、それが効果的に判るような気がします。

初期の作品は、自画像と裸婦なのですが、ヴラマンクの言葉のように教科書通りの整った作品です。ですから、その作品(特に自画像)からは、どことなくナルシスト的な感じがするように思われます。それがパリ渡航により大きく変化し、以降の作品の基礎を成したようです。パリの街並みは、建物の高さを強調するかのように縦方向に伸びていて、看板や張り紙に書かれた文字は、画家の感動が伝わるかのように勢いがあります。

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佐伯祐三「壁」

ところが、日本に帰国したときに描かれた作品を見ると、描きたい風景画を見失ったように淋しいものになります。気になったのは空の色で、パリでは、グレーを使いながらっも生き生きとした感じがするのですが、日本の空では青を使い美しいのですが、何か足りない気がします。それが嘘のようにパリに戻るとまた作品が、生き返って来るのですから面白です。最後は、病気と戦いながらの作品で、単純化、省略が行われるようになり、これが命を削りながら描くことなのだと思うと少し辛い気持ちになりました。

※練馬区立美術館
[展覧会]

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